社外CAO就任の意図と背景

2012年10月15日 17:30

本日の発表にもありました通り、株式会社イードの社外CAOに就任いたしました。サンクトガーレンに続く社外C*Oシリーズ第二弾です。

経緯を補足しておきましょう。ロフトワーク社長の諏訪さん経由で打診いただいたのが、2012年5月。イード社長に話を伺ったところ、メディア事業でWeb解析を活用し、事業の成長を加速したいとのこと。この可能性を信じている、経営的な判断であり、全社一丸で取り組みたい、と。

私の興味を引いたのは以下の3点。

  • 現場からの草の根ではなくトップダウンで進められるのは魅力的
  • ECではないメディア事業での事例は日本での普及を加速できるかもしれない

いつもなら社内勉強会をお手伝いする程度で終えるところですが、何度か打ち合わせをした結果、「スピード感、実行力は申し分なさそう」と判断し、踏み込んだ提案をしてみました。

  • 「リアルで役立つ事例として執筆や講演で開示できるなら、取材の一環として協力できる」
  • 「社外C*Oとしての関与は可能か?」
  • 「最初の要件定義から始めたい」
  • 「時間はあまりコミットできないので、なるべく社内で自走してほしい」

このような提案に素早くGOを出せるかどうかで、意思決定の柔軟性とスピード感が分かります。その結果、驚くほどスムーズに話がまとまったので、デジタルアナリティクス(=Web解析≒アクセス解析)の地位向上を狙い、CAO (Chief Analytics Officer)という肩書に決めました。グローバル企業で使われるようになってきたポジションです。

なお、「社外C*Oシリーズ」は、勝手に私が考案した制度です。「社外」というのは、社員にならない、契約もしない、時間はあまり使わない、という意味であって、「社外取締役」ではありません。NDA以外の契約は存在しません。お互いの合意で名乗って、名刺をもらうだけです。それでも、心は「同志」であり、「コンサルタント」「アドバイザー」よりも踏み込んで「中のひと」になります。必要な社内情報は提供を受けます。意見や提案は重視してもらいます。だからこそ、事例は「ひとごと」ではなく、「自分ごと」として話せるのです。自分にとっては、具体的で説得力があり、話せる事例が増えるのがメリットです。

そして、アグレッシブな長期目標をコミットし、その達成までは報酬を講演の謝礼程度に抑えます。サンクトガーレンの場合は、オンラインの売上を3倍にするまでは、実費(?)として地ビール(もちろんサンクトガーレン)毎月1ダースでした。今回はIT企業なので、解析用端末としてiMacの支給を受け、達成後は何と、一番高いMacBook Pro(今でいうRetinaモデル)と、高級椅子の「アーロンチェア」にアップグレード。

この関係は、お互いにメリットがある間続きます。事例化が難しくなったり、提供価値が下がってきたり、仕事の都合で難しくなってきたら、自然解消。意味がある間は頭と少しの物理時間をコミットするという、柔軟なスタイルです。たまに会議に出るだけの監査役や社外取締役よりは意義があって社会へのインパクトがあるはず、と思っています。まぁ半分冗談ですが、半分本気です。

とにかく、Web解析の活用促進と地位向上、そして企業や個人の努力が正当に評価される状態を目指して、精進する次第であります。

2012年10月15日

清水 誠