実践CMS*IAのSEO方針と効果
このサイト「実践CMS*IA」は、さりげなくSEOを意識して構築・運用しています。
一般的な施策を全て実行すると時間がかかりすぎるので、読者の利便性と運用効率を優先し、できることだけ実行しています。書くこと自体と、書いた内容への反響を楽しみつつ、訪問者の期待とコンテンツをマッチさせる最適化をしたいと思っています。
メタタグは書かない
Meta Description
はサマリー文章を書くのが面倒なので基本的に書きません。つい、ありきたりのキャッチーでPRっぽい内容になってしまい、臨場感が出ないのです。本文中のキーワードの周辺は抽出されても単体で意味が伝わるよう気をつけているので、検索エンジンによって自動抽出されたサマリーも悪くないはず。検索結果での表示が実際にイマイチな場合のみ、本文を直したりメタタグを指定したりしています。
図:Google検索結果の例:
Meta Keywords
も管理が面倒なので省略しています。目に見えないので、ページや時期によって忘れたり、つけ方が変わったり、語彙がブレて一貫性がなくなったりしがちです。
その代わりタグは注意深く
サイト内の回遊を高めるタグ(リンクが貼られるタグクラウド用)については、語彙を制限した上で数にも注意しながら設定しています。
図:タグを元にページ下部にCMSが自動挿入する注目キーワード:
このサイトで使っているCMSのWebnodeが、ページ左側にタグクラウドとしてリンクを自動で掲載してくれます。
図:タグを元にページ左側にCMSが自動挿入するタグクラウド:
このタグとページの関係はExcelでマトリックスにして、バランスや全体の整合性に気をつけています。
図:ページとタグの関係を管理するExcelシート:
- 見る価値があるページのみにタグを設定しています。一時的に必要となる新着お知らせのための中継ページには設定しません。
- 時間が経って価値が下がったコンテンツからタグを外すこともあります。
- 対象ページが増えたタグは、より具体的なタグに細分化します。
検索順位測定は訪問があったキーワードのみ
実際に訪問があったキーワードのみ、GRCで検索順位を計測しています。
さらにGRCと連携できるSWCを使うと、検索流入と検索順位の関係を楽に把握できます。
図:SWCによるキーワード別検索流入数と検索順位の計測結果:
訪問にコンテンツを合わせる
既存コンテンツでは満足できない訪問意図を表す検索キーワードでの訪問が増えてしまった場合は、既存コンテンツのリードや本文を書き換えて内容とスタンスを明確にします。または、ニーズに応えるための新規コンテンツを追加します。
例えば、4/29に公開した「iPadを買う前に行った7つの準備」は、CMSやIA、アクセス解析に関係のないiPadに関するはじめてのエントリーでした。そのため、iPad関連の検索キーワードでの訪問が増えたにも関わらず、新規訪問がそのまま直帰するという状態になりました。
図:iPad関連の検索キーワードでの訪問と直帰が増えた:
そこで、5/9に「iPadの3G vs. WiFi+モバイルルータ比較」、5/21に「iPhoneをモバイルルータで使って分かったこと」の記事を追加したところ、直帰率が改善されました。
キーワードは狙わない
予め狙うキーワードを決めて順位を上げる、ということはしていません。検索ニーズや世の中のトレンド、検索エンジンのアルゴリズムを追いかけて予測するのは難しく時間がかかるので諦め、結果的に増えた訪問を無駄にしないための最適化に力を入れています。
キーワードの強調は読みやすさのため
本文を部分的に太字にしているのはメリハリをつけて読みやすくするためです。CMSの都合で em や strong ではなく b タグですが、SEOではないので気にしてません。
何をいつ書くべきか
一貫したテーマとコンテクスト
サイトのテーマに合わないコンテンツは置かない(別サイトにする)想定外のオーディエンスが読むことも想定し、背景とスタンスを最初に明確にする
狙う効果
- 人とエンジンの両方にとってテーマを明確にすることで、期待に答えられる訪問と再訪問者を増やす
訪問が増えたキーワードに関連するコンテンツを更に追加する
狙う効果
- 検索エンジンと訪問者が認識するテーマ性をさらに強める
- RSS登録やTwitterフォローしてくれた人の再訪問を促す
クローラの頻度に合わせて更新の間隔を開け、連続投稿しない(特に立ち上げ直後)
狙う効果
- 頻繁かつ安定的に更新されている感を出す(人にとってもエンジンにとっても)
どうコンテンツを書くか
文章は翻訳文っぽく書く(機械翻訳されやすく)主語をなるべく省略しない(「私は」を除く)
狙う効果
- 部分的に抽出されても意味が通じるように
- 検索エンジンがテーマや文脈を理解しやすく
分かりやすく短い見出しをなるべくつける
意図する効果
- 斜め読みできるように
- 結果的にキーワードが強調されるかも
略語や専門用語はカッコで言い換える適度に表現方法を変える
意図する効果
- 分かりやすく
- 想定外の読者にとって分かりやすく
- キーワードが増えるかもしれない
URLでページの内容を表す擬似静的化URLを使う(ことができるCMSを選ぶ)
意図する効果
- 検索結果やメール、Tweet中のURLで内容が推測できるので安心
- アクセス解析のページ別レポートが分かりやすくなる
HTMLのリスト(ul, ol)をなるべく使う公開前にHTMLソースから無駄なタグを削除する
意図する効果
- 読みやすくなる
- 構造を保存するのでマルチデバイス対応しやすい
リンクを増やす
サイト内の関連記事になるべくインラインでリンクする後で読んでも意味がある記事にタグをつける(記事下部とページ左のタグクラウドから自動リンクされる)
意図する効果
- サイト内の回遊が増える
- 被リンク数やアンカーテキストが増える
大手メディアサイトに寄稿した記事のプロフィール文からリンクする
意図する効果
- 新規訪問者が増える
- サイトの信頼性が高まる
sitemap.xmlを自動生成する新着コンテンツにTopページにからリンクする(ことができるCMSを採用する)
意図する効果
- 検索エンジンによる発見が早くなるかも
まとめ
以上、あまり時間をかけず、かつ検索エンジンよりも訪問者を意識するような方針と対策でこのサイト「実践CMS*IA」を運用しています。
この結果、検索エンジンからの訪問を安定的に維持できるようになりました。下記グラフの後半の山が今回のiPad関連コンテンツへの検索エンジン経由訪問です。
図:検索経由の訪問その後:
ただし、iPad関連はCMSやIA、アクセス解析よりもニーズが高いので、訪問の絶対数が増えるのは当然です。そこで、iPad関連のキーワードを除外してみたのが以下のグラフです。サイト全体で全期間を通して、検索経由の訪問が増えています。
図:検索経由の訪問その後:
2010年7月でみると、16,640セッションのうち検索経由は全体の訪問の81.5%を占めます。「ノーリファラー」や「参照元サイト」のほとんどはTwitter関連です。
図:訪問の経路:
さらに主要キーワード別で見ると、セッションあたりの閲覧ページ数や平均サイト滞在時間が増えています。直帰率も減っています。iPadのリモートデスクトップ(RDP, VNC)やモバイルルータ(WiMAX, Emobile)というテーマ性を強めることには成功したようです。
唯一の難点は、CMSにもIAにも関係ないテーマが強まってしまったことでしょうか...。「実践CMS*IA」はCMS・IA・SEO・アクセス解析に関する実験・実践をしながらノウハウを開示していくためのサイトであり、そのためにはある程度のアクセスが必要、という意味では意義があるので、良しとしておきます...。