旧GAが1月に終了:新verを積極的に使うべき4つの理由

2011年11月03日 04:22

新GAで、ようやくメール配信機能とPDF出力機能が可能になる、と11月1日にアナウンスされましたが、同じアナウンスの下の方にこう書かれています。

... we want to give you three months notice (as of today) that the old Google Analytics interface as well as all existing scheduled emails will be sunset starting in January 2012. We believe that the new Google Analytics interface provides significant advantages over the old version, ...

要約:もう十分な機能を追加したので、1月に古いUIの提供を終了します。今からなら3か月弱あるので、準備はお早めに。

解説:「sunset」は本来、「日の入り」「日没」「太陽が沈むこと」を意味しますが、IT業界では「サービスの提供を終了する」という意味で使われます。止める、辞める、無効化する、などの後ろ向きな表現を避けてきれいに表現するために広まったのでしょう。提供側が主に使う表現です。We will be sunsetting xxx .. などと使います。上記では受動態にしているので、さらに柔らかく表現しています。「旧GAはいよいよ日の入りを迎えます。」

旧GAの終了が真のメッセージ

GAの新機能に関するアナウンスは、これまで提供開始と同時に行われることが多かったと思いますが、前回のビジュアルフローや今回のPDF・メール配信に関しては、数週間前と早めにアナウンスされています。今回のアナウンスの主目的は、3か月以上の猶予を与えつつ旧UIの提供終了を宣言することだったのではないでしょうか?振り返ると、ここ数か月の矢継ぎ早の機能追加も新GAへの移行を促進するためだったように思えます。

提供側としては、これは当然の判断でしょう。両方のバージョンを維持するためには、二重の投資が必要になります。新バージョンは、デザインやUI、レポート機能に注目が集まりがちですが、データの持ち方も従来とは変わっていると思われます(つまりプラットフォーム全体が刷新されている)。だとすると、収集・集計サーバーも二重投資になっていて、さらにデータの保管領域も二重投資になっているのです。

新バージョンを積極的に使う4つの理由

メジャーアップグレードは、つまりスクラップ&ビルド。いつかは古いバージョンが捨てられます。
そこで、私の場合は以下の理由で積極的に新しいバージョンを使い始めるようにしています。

1. バグは見つけて直してもらえば良い

複雑化した現代のソフトウェアでは、バグが無い状態はあり得ません。リリース直後のソフトウェアにはバグが多いものですが、見つけたら報告して直してもらえば良い。リリース直後なので、コードを書いた本人もまだ残っているはず。誰が書いたのか分からないコードを解読しながら直したり、無理な改修を重ねてスパゲッティ状態になったコードにさらにパッチを充てることで別のバグが発生するのとは異なります。開発の作業が早く、品質も高いので、すぐ対応してもらえるのです(多分)。

2. 変化を早めに知り、準備したい

「100の機能が追加・改善された」のようなリリースや記事を読むよりも、使ってみるのが一番。思わぬところで変更があり、運用を修正する必要が出たりします。早めに体験することで、早めに変化の具体化と対応が可能になります。

3. 意見すると採用される可能性が高い

新バージョンは、反響を見ながら試行錯誤を繰り返して進化していきます。その段階で積極的に参加して意見すれば、採用される確率が高まります。一通りの投資が終わり、維持に入った段階では、仕様変更が難しいのです。

他の先駆者によって形作られたサービスを受動的に使うよりも、仕様やデザインの決定に参加しつつ、自分にとって今後も役立つサービスであることを見届けていきたいのです。自分が意見した機能が採用されるなんて、素晴らしいですよね?

4. 新しい考え方が分かる

ソフトウェアの機能やUIには、課題の捉え方と解決策のアイデアが詰まっています。「こういう場合はこうすると解決できる」と誰かが考え、そのアイデアに対して一定の支持が集まり、さらにその開発・実装によって費用に見合う価値が出せる、と提供側が判断したからこそ、実現したわけです。

なので、ソフトウェアを使うことで、その考え方が参考になります。例えば新しいリアルタイムレポート。今の自分にとって必要かどうかを考えると同時に、「いったいどのようなシチュエーションで役に立つと考えたのだろう」「このようなUIに至ったからには、きっとこう想定したに違いない」などと設計やデザインを逆流して考えると、いろいろなヒントが得られます。時には、自分が必要だとは思っていなかった隠れたニーズを再発見できるかもしれません。